「詳解 確率ロボティクス」でミスマッチを起こさないために

Sun Sep 15 11:34:10 JST 2019 (modified: Sun Sep 15 19:13:44 JST 2019)
views: 2186, keywords:確率ロボティクス, ロボティクス この記事は最終更新日が4年以上前のものです。

 自著、「詳解 確率ロボティクス」の予約がamazonで始まりました。おかげさまで良い予約状況なのですが、中身がまだ読めないまま盛り上がっているとも言え、ミスマッチが起こると盛り下がりになってしまいます。そこで、どんな本なのかちょっと書きます。

どんな本か

 確率ロボティクスに関係する主要なアルゴリズムについて、シミュレータのロボットを動かすためのコードを書きながら学習していくための本です。

どんなアルゴリズムが扱われているか

 こちらのサイトの下の方に詳細な目次が掲載されています。

 また、掲載されているアルゴリズム一覧がこちらのリポジトリのREADMEにあります。

ここに書き出すと、MCL、FastSLAM(1.0, 2.0)、動的計画法(価値反復)、強化学習(QとSarsa)、POMDPでの行動決定アルゴリズム(Q-MDP類、belief MDPでの価値反復)、ベイズ推論、変分推論です。また、上のリポジトリでは目立っていませんが、シミュレータに雑音を与える時などに様々な確率モデルが出てきます(ガウス分布、カイ二乗分布、指数分布、ディリクレ分布、ガンマ分布・・・)。

どんな人に向いているか

  • 大学生・大学院生
    • 理論、実装までみっちり書いてあります。まともにコードを書いてくと1年〜数年楽しめます。Pythonにも慣れることができます。(PEP8は無視しちゃってますが・・・)
  • アルゴリズムについて教科書を読んだけど分からない/実感が持てない方
    • 動くコードが省略されずに掲載されているので、「ここが分らない」という箇所も網羅されています。

 その他、自分でコードを書いて理論を体で覚えたい人向けです。

 また、講義で学生に教える時にもう一度実装の細かいところまで把握しておきたい教員の方にも向いています。もちろん講義で利用していただけると大変ありがたいのですが、たまに放言があるのでそこはスルーでおねがいします。

どんな人に向いていないか

  • とりあえず確率ロボティクスの概要を短時間で把握したい人
    • コードの中に説明が埋もれているので時間はどうしてもかかります。
  • プログラミングを覚える予定のない人
    • コードがたくさんで読めないです・・・が「プログラミング覚えようかな」というきっかけになれば良いので、もしお財布に余裕があればご購入をお願いいたします。

他の本や論文も併読すると効果がある場合

 LiDARやポイントクラウドは扱っていませんので他の文献との併読が必要です。ただし、本書は併読の際の基礎固めになります。ドローンのように移動ロボットより多くの次元を扱う問題に適用したい場合にも同様です。

 本を書くと、何冊も教科書を買えない学生さんから「○○が書いてない」などとよくお叱りを受けるのですが、一冊でなんでも扱うのは無理があります。入門書は、自身で学習するときの入り口でしかありませんし、例えば建築物の入り口になんでも置いてしまうとかえって入りにくくなってしまいます。ご容赦ください。

個人的なこと

 あとがきでまた余計なことをごちゃごちゃ書いてしまいました。本人が世の中をどうひねくれた目で見ているかよくわかります。

 以上、納得できましたら、ぜひともよろしくお願いいたします。 

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