明るいデスマーチ研究会(通称デス研)をやっとこさ開始する。

Tue Apr 15 16:37:29 JST 2014 (modified: Tue Sep 19 13:17:34 JST 2017)
views: 1861, keywords:勉強会,明るいデスマーチとは,デス研,研究 この記事は最終更新日が7年以上前のものです。

副会長とここ数ヶ月やろうやろうと言っていてなかなかできなかったデスマーチ研究会の立ち上げを木曜日にやります。

実は某T大の助教を辞任してIT産業に身を投じたのはこれをやりたかったからで、シェルは後付けだったりします。シェルでも面白いことができたのは幸運でしたが、辞める前に知り合ったとある先生と話題になって、興味を持っていたのはこっちの話でした。どうも業界がうまくいっていないのは使ってる道具もまずいというのもあるのですが、働いている人たちのやさぐれ具合も相当なウェイトを占めると。

ということで業界をいろいろな立場から眺めて6年かかってやっとスタートラインに立ったところです。工学しかやったことのない人間がこれをやるのは、ただでさえ5年道草を食っているのにまたキャリアの回り道になるのですが、正直ロボットとかコンピュータだけをいじっていても人間の心根は分からないので、人生の何パーセントかを費やすつもりでいます。ただ、ちゃんと本業ともバランスを取りながらゆるゆるとやっていこうと思います。自分の分からないことが分かればよいというスタンスで。

どんなふうにやるか

とかく怒りを持って語られがちなデスマーチですが、いろんな学問で分析すると実に面白い現象です。様々な事例を発表していただき、それに対してあらゆる学問の知識を動員して構造をあぶり出そうという試みです。構造をあぶりだすので、犯人探しとかそういうのではありません。研究者は感情を込めずに対象をある程度観察できるように訓練を受けているので、その訓練の成果を以て冷静に、時に面白くデスマーチを取り扱おうかと。

例えば、関係する学問分野だけでもこれだけあります。

社会心理学

駒場で受けた講義の中で一番印象に残っているのが社会心理学です。

↓これが当時使っていた教科書で今も持ってます。工学屋が単に別の分野を羨望の眼差しで見ていただけかもしれませんが、個人的には大変興味のある分野です。

社会心理学というのは、「個人に対する社会活動や相互的影響関係を科学的に研究する心理学の領域の一つ」(Wikipedia)だそうで、例えば上のテキストの目次を見ると、こんな項目があります。

  • 利己的な帰属のバイアス
  • 没個性化
  • 権威への服従
  • ...

デスマーチ的な要素がプンプンします。

あと、良く知られているPM理論なんかも社会心理学で扱う事柄です。

ゲーム理論

自分のやっている話(最適制御理論)のお隣にある理論体系で、いろんな参加者の利害関係から個人や全体の最適な意思決定等々を導くものです。

有名なのが囚人のジレンマですね。

特に日本人は「美徳」を刷り込まれているので、全員で泥舟タイタニックごっこに陥って全滅しがちです。非常に単純なジレンマ状態になっているのに誰も気づかない事例というものが多くあるようです。ゲーム理論的な知識があれば、もうちょっと冷静になれるものを・・・。

今ゲーム理論の話をしていますが、文化論みたいなものも混ざってしまいました。ただ、当然そういうものも関係するかもしれません。

構造主義

あと、これは私が理解しているかどうかは自分でもよく分からないのですが、「構造主義」というものがあります。私は、「物事の瑣末でなくて物事が起こる構造に注目すること」と捉えています。

はっきり言えば、デスマーチが起こって誰が悪いとか誰が死ぬとかそういうのは、大事と言えば大事なのですが、それを言ってもデスマーチが無くなるというか、大多数の人が「これはデスマーチになる」と回避行動をとれるようになるとは到底考えられません。

「なぜデスマーチが起こるか」

おそらく巻き込まれた人は良く分かっていると思うのですが、これを論理的に文章に起こすということが大事かと。

・・・という考えでおります。あとは真剣ながらも友の会的グダグダ感で爆笑の絶えない会にしないと続くわけないので、木曜によく作戦会議をしたいと思います。

以上、ご報告でした。

ノート   このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

prev:A案B案C案でどれを選ぶか議論していたとする next:Structure and Interpretation of Computer Programs読書会16回目メモ書き

やり散らかし一覧

記事いろいろ