ロボットの確率・統計問題集(問題)
Sat Sep 21 12:50:56 JST 2024 (modified: Fri Feb 21 10:00:41 JST 2025)
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ロボットの確率・統計の問題集です。詳解確率ロボティクスの問題集も少し兼ねています。
1章
統計のリテラシー
本書の筆者はたびたびAmazonのランキングの某部門で本書が1位になっているとSNSに挙げていますが、この「1位」という情報について、注意すべき点を議論してください。
統計のリテラシー2
「○○に決まっている」と断言して、その後実は違っていたことが判明したという経験があったら書き出してみてください。世の中に絶対はあるでしょうか?議論してください。
(答え): 自分の胸に手を当てて考えましょう。
大量データの平均値
このデータの4列目の平均値を求めてください.道具はなんでもよいです.
大量データのばらつき
上の問題のデータについて,4列目の分散(不偏分散)と標準偏差(不偏分散から求める値)を求めてください.道具はなんでもよいです.
不偏分散の定義
データ\(x_1, x_2, \dots, x_N\) \( (N\ge 2)\)の不偏分散を計算する式を書いてください。
代表値の活用
代表値を計算できるようになると,どのような場面でどのように役に立つでしょうか?具体例を挙げてみてください.代表値は万能ではないので,必ず異議が生じることを考慮する必要がありますが,とりあえずその問題は棚上げにしましょう.
2章
同時確率と条件付き確率
カジノで賭け事をしています。ディーラーがAさんとBさんの2人いて、どちらか1人がサイコロを1つ投げます。2人が偶数、奇数を出す確率は次の通りです。Aさん、Bさん2人の担当時間の比は2/3と1/3です。
偶数 | 奇数 | |
---|---|---|
A | 1/2 | 1/2 |
B | 1/3 | 2/3 |
AさんとBさんの顔を知らず、誰がサイコロを投げているか分からないとき、偶数が出る確率を求めてください。
条件つきの乗法定理
次の条件つきの乗法定理の式を、条件なしの乗法定理から証明してください。
$$P(X, Y | Z) = P(Y | X, Z)P(X | Z)$$
複数の変数をベクトルにまとめても、乗法定理が成立することを利用しましょう。また、\(Z\)が条件として意味のある\(P(Z) \neq 0\)の場合だけを考えればよいです。
独立
サイコロ1と2をふったときに、目の和が偶数になる確率が1/2であることを、それぞれの目を\(x_1, x_2\)として、
$$\text{Pr} \{ (x_1 + x_2) \equiv 0 (\text{mod} 2) \}$$
から機械的に計算して導出してください。
3章
賭け事と期待値
3700円を払い、サイコロの出目に1000をかけただけお金がかえってくるギャンブルがありますが、1回の試行で儲かるお金の期待値は?
賭け事と期待値2
100円かけて100枚のコインを投げてすべて表が出たら1億円もらえるとしたら賭けに参加しますか?
宝くじ
当せん金付証票法について調査して、1万円分の宝くじを買ったときの期待値の上限を求めてください。この期待値を見て、自身が宝くじを買うかどうかや、宝くじの意義について議論してください。
期待値の式
上の問題について、最初に払うお金を\(a\)円、サイコロ(細工してある可能性あり)の\(i\)の目が出る確率を\(P(i)\)、出目に応じてもらえる金額を\(bi\)円とすると、期待値の式はどうなるでしょうか。\(\sum\)を使って表してみましょう。
期待値の線形性
分布\(p(x)\)に対して、\(x\)の平均値が\(\mu\)であるとき、 $$f(x) = ax + b$$ の期待値が $$a \mu + b$$ となることを示してください。
分散の性質と期待値
確率分布に対する分散の式 $$\sigma^2 = \langle (x - \mu)^2 \rangle_{p(x)}$$ から、 $$\sigma^2 = \langle x^2 \rangle_{p(x)} - \mu^2$$ を導いてください。\(\mu\)は\(x\)の平均値です。
独立した変数の和の分散
ふたつの独立した変数\(x,y\)の和\(z = x+y\)の分散を求めてください。
2つのサイコロの目の分散
1つのサイコロを振ったときの出目の分散は35/12です。では
- 小問1: 2つのサイコロの目の和の分散
- 小問2: 2つのサイコロの目の平均値の分散
を求めてください。
不偏分散の期待値
確率分布\(p\)から得られたデータ\(x_1, x_2, \dots, x_N\) \( (N\ge 2)\)の不偏分散の期待値が、\(p\)の分散と一致することを証明してください。
4章
ガウス分布の式
変数\(x\)がガウス分布にしたがうとき、その確率密度関数を書いてください。必要な記号は自身で定義すること。
2次元ガウス分布の式
ベクトル\(\boldsymbol{x} = (x_1 x_2)^\top \)がガウス分布にしたがうとき、その確率密度関数を書いてください。必要な記号は自身で定義すること。
1(答え)
連続値と確率
変数\(x\)が実数で連続的な値をとるとき、その確率密度関数\(p\)から\(x\)の1つの値に対して得られる値は確率ではありません.その理由を説明してください.(密度という言葉を知っていても使わないこと.\(p\)は使って良いです.)
ガウス分布に従う2変数の和の分布
\(\boldsymbol{x}_1\)と\(\boldsymbol{x}_2\)が互いに独立で、それぞれガウス分布\(\mathcal{N}(\boldsymbol{\mu}_1, \Sigma_1)\)、\(\mathcal{N}(\boldsymbol{\mu}_2, \Sigma_2)\)、にしたがうとき、\(\boldsymbol{x}_3 = \boldsymbol{x}_1 + \boldsymbol{x}_2\)の分布はどうなるでしょうか?計算しないで知識で答えてください。
ガウス分布の積
\(\boldsymbol{x}\)を変数とするふたつのガウス分布\(\mathcal{N}(\boldsymbol{\mu}_1, \Sigma_1)\)、\(\mathcal{N}(\boldsymbol{\mu}_2, \Sigma_2)\)を掛け算して正規化すると、分布はどうなるでしょうか?計算しないで知識で答えてください。
5章
ベイズの定理の導出
ベイズの定理を乗法定理、加法定理から導出してください。式中では確率変数\(X, Y\)を使い、左辺は\(P(X|Y)\)としてください。右辺の分母については展開せずに\(P(Y)\)のままで構いません。
ベイズの定理からの推定
ある2種類のコインがあり、次のような性質があります。
- コインAは表と裏が出る確率が半々
- コインBは表と裏が出る確率がそれぞれ1/3、2/3
コインAとBを袋に入れて、1枚選択しました。(選ばれる確率は半々。)その後、コインを100回投げて裏、表を記録していくと、次のcoin.txtのようになりました。10回ごとに改行してあります。
表 裏 裏 裏 裏 表 裏 裏 表 裏
表 表 裏 裏 裏 裏 裏 裏 裏 裏
裏 裏 裏 裏 裏 裏 裏 表 裏 表
裏 裏 表 表 裏 表 裏 裏 表 表
表 表 表 裏 裏 裏 裏 裏 表 裏
裏 表 裏 裏 表 裏 裏 表 裏 表
裏 表 裏 表 裏 裏 裏 表 表 裏
表 表 裏 裏 裏 裏 裏 裏 裏 裏
裏 裏 裏 表 裏 表 表 裏 裏 表 表 裏 裏 裏 裏 裏 表 表 裏 裏
このデータから、投げたのはどちらのコインなのか、ベイズの定理を使い、コードを書いて推定してください。余裕のある人は、推定の推移も記録してみてください。